【RHEL9】SCA(Simple Contents Access)の概要まとめ

Linux

Red Hatのライセンスの仕様が2024年11月から移行されました。

SCA(Simple Contents Accessシンプルコンテンツアクセス)がすべてのRed Hatのライセンスがデフォルトで有効になります。

この記事ではSCAの概要をまとめました。

SCAを有効にするとプールIDを選ばなくてよくなる

SCAについて、Red Hat公式記事で以下のように説明されています。

Simple Content Access - Red Hat Customer Portal
このドキュメントでは、Simple Content Access を使用すべき理由と、Simple Content Access の有効化後に Satellite 環境で必要な操作上の変更について説明します。

Simple Content Access (SCA) は Red Hat のサブスクリプションツールの機能で、エンタイトルメントツールの動作を簡素化します。これにより、サブスクリプションツールの設定という複雑なプロセスなしに、Red Hat サブスクリプションが提供するコンテンツを簡単に利用できるようになります。

その結果、Simple Content Access では以下のプロセスがなくなります。

  • 時間のかかるプロセス
  • 特にシステム管理担当者にとって非常に複雑なプロセス
  • ビジネスに影響を及ぼすプロセス(‘間違えた’ 場合のペナルティーが高い)

Simple Content Access はエンタイトルメントエクスペリエンスを簡素化するため、サブスクリプションの追加、削除、および更新時に Linux 管理者が完了しなければならない複雑なワークフローはありません。SCA により、管理者は貴重な時間を節約できるので (平均で週 10 時間)、その分をサブスクリプション管理以外の作業に費やすことができます。根本的に、システムレベルごとにサブスクリプションをアタッチする必要性を排除すること で、これを実現します。サブスクリプションのアタッチが不要なことから、サブスクリプションツールの複雑さが大きく軽減または排除されます。

  • 複雑なアクティベーションキーを設定し、システムが適切なサブスクリプションを取得 (リポジトリーへのアクセスの許可) できるようにする必要がなくなりました。今後は、必要なリポジトリーを登録し、有効化するだけになります。
  • 新しくプロビジョニングされたホストをサポートするための新しいホストとゲストのマッピングをサポートするために、virt-who を頻繁に実行する必要がなくなりました。必要に応じて、報告用に virt-who を実行します。
  • 自動アタッチによるサブスクリプションの意図しない割り当てに関する問題が解消されます。
  • 新しいハイパーバイザーにサブスクリプションをアタッチする (または古いハイパーバイザーからサブスクリプションを削除する) という要件がなくなりました。
  • 更新後にサブスクリプションを再びアタッチする必要がなくなりました。

Simple Content Access は、Red Hat Subscription Management (RHSM) および Red Hat Satellite 6 の機能です。Satellite 6 では、サブスクリプションの割り当てごとに Organization Administrator が Simple Content Access を有効にできます。

ひとことでまとめると、Red Hatのアカウントに、有効なライセンスがあればOSに自動でリポジトリが有効化できるようになるものです。

これまでのようにプールIDを指定してRHELをRHNに接続してからライセンスを選んで割り当てる、ということではなく、RHELをRHNに接続したらあとは有効なライセンスがあればそれでよい、ということになります。

SCAのQ&Aは以下です。

Simple Content Access - FAQ - Red Hat Customer Portal
こちらは Simple Content Access について説明し、お客様から最もよく寄せられる質問に回答する記事です。

RHELでSCAが有効になっているライセンスを割り当てるには

SCAが有効になっているライセンスを割り当てるには、以下のコマンドでRHELをRHNに接続すれば、自動で有効なライセンスが確認され、リポジトリを有効にできます。

subscription-manager register

厳密には、ライセンスの割り当ては行われず、Red Hatのアカウントに有効になっているライセンスがあるかないかだけを判定するようになります。特定のライセンスを選んで割り当てる(プールIDを選んで割り当てる)ことはできなくなります。

subscription-managerコマンドのオプションの変化

SCAがデフォルトで有効になることに伴って、いくつかのsubscription-managerコマンドのオプションが機能しなくなります。

例えば以下のRHEL9のドキュメントではSCAが有効化されていないライセンスを割り当てる方法が記載されていますが、SCAが有効化されたライセンスに対しては以下のドキュメントの「–auto-attach」オプションは無効になります。

3.10. Red Hat サブスクリプションの割り当て | Red Hat Product Documentation
3.10. Red Hat サブスクリプションの割り当て | Red Hat Documentation

コマンド実行例:

[root@RHEL95 ~]# subscription-manager register --auto-attach
(中略)
自動割り当ての要求を無視します。

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