オラクルゴールドの概要をまとめました。
オラクルゴールドとは
通称オラクルゴールドと呼ばれているのは「ORACLE MASTER Gold DBA 2019」というOracle社が提供しているOracle Databaseに関する資格のことを指します。「ORACLE MASTER Gold DBA 2019」は「Oracle Database Administration II」試験に合格することで得られるオラクルのベンダー資格です。
オラクルゴールドを取得するために受験する試験の概要は以下です。
試験番号 1Z0-083-JPN
試験名 Oracle Database Administration II
時間 120 分
出題数 68 問
合格ライン 57 %
参考:
https://www.oracle.com/jp/a/ocom/docs/dc/golddba-18284-ja.pdf
オラクルシルバーに合格していないと取得できない
以下のリンクに記載の前提資格を取得していないとオラクルゴールドの試験(Oracle Database Administration II)を受験する資格がありません。原則オラクルシルバーを持っていなければオラクルゴールドを受験できないということになります。
ステップ1 – 前提資格
- ORACLE MASTER Silver DBA 2019 資格 もしくは
- ORACLE MASTER Silver Oracle Database 12c 資格 もしくは
ORACLE MASTER Silver Oracle Database 11g 資格 もしくは
ORACLE MASTER Silver Oracle Database 10g 資格- ORACLE MASTER Gold Oracle Database 12c 資格 もしくは
ORACLE MASTER Gold Oracle Database 11g 資格 もしくは
ORACLE MASTER Gold Oracle Database 10g 資格
受験料
本記事を作成している2025年2月時点でのOracle Database Administration II(1Z0-083-JPN)の受験料は「受験料(税抜): ¥34,300」です。
有効期限
Oracle Goldに有効期限はありません。一定期間で再度試験を受験しなおさなくとも資格は有効です。
試験範囲
以下のOracle公式PDFに記載の試験範囲を引用します。
https://www.oracle.com/jp/a/ocom/docs/dc/golddba-18284-ja.pdf
マルチテナント分野
1. CDB と通常の PDB の作成
• CDB の設定および作成
• CDB シードからの新しい PDB の作成
• PDB の構造の確認
2. アプリケーション PDB の管理
• アプリケーション・ルートとアプリケーション・シードの⽬的の説明
• アプリケーション PDB の定義および作成
• アプリケーションのインストール、アップグレードおよびパッチ適⽤
• アプリケーション PDB の作成および管理
• PDB およびアプリケーション・コンテナのクローニング
• PDB およびアプリケーション・コンテナを使⽤したプラグ操作とアンプラグ操作
• ローカル UNDO モードと共有 UNDO モードの⽐較
3. CDB および PDB の管理
• PDB サービス名および接続の管理
• CDB と PDB の起動、停⽌および可⽤性の管理
• PDB の様々なモードおよび設定の変更
• パラメータ値の変更の影響評価
• CDB および PDB のパフォーマンス管理
• Oracle Resource Manager を使⽤した CDB および PDB のリソース使⽤量の制限
4. マルチテナント・データベースのセキュリティの管理
• マルチテナント・データベースのセキュリティの管理
• PDB ロックダウン・プロファイルの管理
• CDB および PDB のユーザーの監査
• アプリケーション・コンテナでの他のタイプのポリシーの管理
5. バックアップと複製
• CDB および PDB のバックアップとリカバリの実⾏
• アクティブな PDB の複製
• データベースの複製
6. リカバリとフラッシュバック
• RMAN を使⽤したデータベースのリストアおよびリカバリ
• CDB および PDB のフラッシュバックの実⾏
7. CDB と通常の PDB のアップグレードおよび転送
• Oracle Database のアップグレード
• データの転送
バックアップ・リカバリ分野
8. RMAN の設定および使⽤
• リカバリ可能性のための RMAN およびデータベースの設定
• RMAN リカバリ・カタログの設定および使⽤
9. バックアップの⽅法および⽤語
• 完全バックアップ、増分バックアップおよびリカバリの実⾏
• RMAN バックアップの圧縮および暗号化
• メディア・マネージャの使⽤
• ⾮常に⼤きいファイルのマルチセクション・バックアップの作成
• ⼆重化バックアップ・セットの作成
• アーカイブ・バックアップの作成
• リカバリ・ファイルのバックアップ
• データベース・ファイル以外のファイルのバックアップ
• ASM メタデータのバックアップ
10. 障害の診断
• データベースおよびデータベース・ブロックの破損の検出と修復
• データベースの問題の診断
11. リストアとリカバリの概念
• 障害状況に最適な Oracle Database リカバリ・テクノロジの使⽤
• クラッシュ・リカバリ、完全リカバリおよびポイント・イン・タイム・リカバリのリカバリ・テクノロジーの説明と使⽤
12. リカバリの実⾏
• RMAN を使⽤したデータベースのリストアおよびリカバリ
• RMAN 以外によるデータベース・リカバリの実⾏
13. フラッシュバック・テクノロジの使⽤
• フラッシュバックをサポートするためのデータベースの設定
• フラッシュバック操作の実⾏
14. データの転送
• データの転送
15. データベースの複製
• データベースの複製
16. RMAN のトラブルシューティングおよびチューニング
• RMAN のメッセージ出⼒の解釈
• RMAN のパフォーマンス問題の診断
デプロイ、パッチ適⽤、アップグレード分野
17. Grid Infrastructure および Oracle Database のインストール
• スタンドアロン・サーバー⽤の Grid Infrastructure のインストール
• Oracle Database ソフトウェアのインストール
18. DBCA を使⽤した Oracle Database の作成
• DBCA を使⽤したデータベースの作成、削除および設定
19. Grid Infrastructure および Oracle Database へのパッチ適⽤
• Grid Infrastructure および Oracle Database へのパッチ適⽤
20. Oracle Restart
• コンポーネントを管理するための Oracle Restart の設定および使⽤
21. Oracle Grid Infrastructure へのアップグレード
• Oracle Grid Infrastructure のアップグレード
22. Oracle Database のアップグレード
• Oracle Database のアップグレード計画
• Oracle Database のアップグレード
• アップグレード後の作業の実⾏
23. Oracle Database 18c: 新機能
• イメージおよび RPM ベースのデータベースのインストール
24. スタンドアロン・サーバー⽤の Grid Infrastructure のインストール
• ⾼速ホーム・プロビジョニング
Oracle Database 19c 新機能分野
25. データベース全体の⼀般的な拡張機能の使⽤
• Oracle Database ソフトウェアのインストール
• DBCA を使⽤したデータベースの作成、削除および設定
• CDB と通常の PDB の作成
• 19c のその他の新機能の使⽤
26. 可⽤性拡張機能の使⽤
• RMAN リカバリ・カタログの使⽤
• フラッシュバック・データベースの使⽤
パフォーマンス管理分野
27. データベース・パフォーマンスの監視と調整
• メモリー・コンポーネントの管理
• ⾃動ワークロード・リポジトリ(AWR)の理解
• アドバイザ・フレームワークの理解
• 待機イベント、セッションおよびサービスの監視
• メトリックしきい値およびアラートの管理
• パフォーマンス・チューニング⽅法の理解および使⽤
• パフォーマンス計画の実⾏
• ⾃動データベース診断モニター(ADDM)の理解
28. SQL ⽂のチューニング
• Oracle オプティマイザの理解
• SQL チューニング・アドバイザの使⽤
• オプティマイザ統計の管理
• SQL アクセス・アドバイザの使⽤
• SQL チューニング・プロセスの理解
マルチテナント構成とは、複数のデータベースを1台以上のインスタンス(サーバー)で扱う構成のことです。オラクルゴールドの試験範囲は、ざっくりと以下のようになります。
- マルチテナント構成の詳細
- データベースのバックアップとリストア
- データベースのアップグレード
- データベースのパフォーマンス管理
Oracle Silverの試験範囲と比べて、実際の業務で必要とする技術についての出題量が増えています。試験範囲からいえることは、Oracle Goldを取得できるレベルで初めてOracleデータベースを導入している現場で問題なく稼働できるレベルの技術力が証明できるということです。
オラクルゴールドの勉強方法
以下オラクル社の公式資料には学習方法が以下2つ記載されています。
https://www.oracle.com/jp/a/ocom/docs/dc/golddba-18284-ja.pdf
市販の試験対策書籍
翔泳社「オラクルマスター教科書 Gold DBA」が刊⾏されています。解説をよく読んで学習した後、練習問題や模擬試験で理解度をチェックすると良いでしょう。
ORACLE MASTER Gold ラーニング・サブスクリプション
Gold DBA 試験に特化した 1 年間使⽤できるラーニング・サブスクリプションです。ラーニング・パスに含まれるコースを学習することで体系的な知識を習得することができます。演習環境は何度でも使⽤できます。含まれる試験を 1 回受験
できます。
オラクルシルバーと同様、実際にOracleデータベースを自分のパソコンで使えるようにして、操作しておきましょう。
Oracle Live SQLというオラクルが提供しているサービスでは実際にSQL文を入力してOracle データベースの動作を確認できます。
市販の試験対策書籍、いわゆる黒本の使用
市販の試験対策書籍は、日本オラクル株式会社が監修し、株式会社コーソルが著した「オラクルマスター教科書 Gold DBA Oracle Database AdministrationII」のことを指します。
ORACLE MASTER Gold ラーニング・サブスクリプションへの登録
2025年2月時点で、「ORACLE MASTER Gold ラーニング・サブスクリプション」は1ユーザー当たり年間54万円ほどの費用が必要なサービスになっています。
以下のリンクを下のほうまでスクロールすると「ORACLE MASTER Gold ラーニング・サブスクリプション」に登録することができます。
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コンテンツは充実していますが、費用が高額なサービスになります。
オラクルゴールドに合格したら
オラクルゴールドに合格した後の影響をまとめました。
実務で問題なく活躍できるレベルの技術力の証明
オラクルシルバーではオラクルゴールドより出題範囲が限られていることもあり、実務で使う技術について触れていない部分が多かったですが、オラクルゴールドでは実務で使用する技術を多く含むため、実務で問題なく活躍が見込める技術力の証明ができます。
LPIC/LinuCの受験を検討する
Oracleデータベースは、Oracle Linux上に構築することが多く、Linuxの操作や構造を理解しておく必要があります。実務で問題なく稼働するためにもLPIC/LinuCレベル1に合格しておくのがおすすめです。LPIC/LinuCレベル2はOSの設計・構築に関する技術力を問われる試験なので、Oracleデータベースのエンジニアとして稼働する場合はLPIC/LinuCレベル2を取得しても実務の理解にはつながりにくい試験でだといえます。そのため、Oracleデータベースのエンジニアとして稼働する場合はオラクルゴールドとLPIC/LinuCレベル1を取得していれば十分です。
まとめ
オラクルゴールドについてまとめました。オラクルゴールドはOracleデータベースを使う現場で問題なく稼働ができるレベルの技術力が証明するベンダー資格です。Oracle Silverより試験範囲が広く学習に時間を要する試験ですが、取得すれば現場で活躍することが見込まれます。Oracleデータベースのエンジニアを希望する場合は必ず取得しておきたい資格です。