LinuCレベル1の概要と合格するまでの学習方法をまとめました。
LinuCレベル1の概要
LinuCレベル1はLinuxサーバーの運用に関する業務を問題なく行えるレベルの技術力を証明する民間資格です。

LinuCレベル1に合格するには筆記試験対策によって知識を身につけることもさることながら、実際にLinuxを操作することができる能力が問われることから、Linuxを操作して慣れておく必要があります。
また、たとえ書籍のみでLinuCレベル1に合格していてもLinuxを操作できなければ意味がないので、まずは実際にLinuxを操作してみましょう。
LinuCレベル1はサーバーの運用に関する資格
Linuxは多くのサーバーで使用されています。LinuC レベル1はLinuxを使用しているサーバーの運用に関する資格です。
LinuCレベル1を取得するには101試験と102試験の受験が必要
LinuCレベル1認定を受けるには、101試験と102試験の2試験に合格する必要があります。
101試験と102試験では出題される技術の範囲が異なります。101試験と102試験の詳細は次の見出しで説明します。
LinuCレベル1の試験範囲
LinuCレベル1の試験範囲は以下のリンクから確認できます。

LinuCレベル1認定を受けるには、101試験、102試験に合格する必要があります。
101試験の詳細は以下リンクから確認できます。

102試験の詳細は以下リンクから確認できます。

101試験の試験範囲
LinuC公式サイトに記載されているLinuCレベル1 101試験の試験範囲は以下です。
1.01:
Linuxのインストールと仮想マシン・コンテナの利用
1.01.1 Linuxのインストール、起動、接続、切断と停止
1.01.2 仮想マシン・コンテナの概念と利用
1.01.3 ブートプロセスとsystemd
1.01.4 プロセスの生成、監視、終了
1.01.5 デスクトップ環境の利用
1.02:
ファイル・ディレクトリの操作と管理
1.02.1 ファイルの所有者とパーミッション
1.02.2 基本的なファイル管理の実行
1.02.3 ハードリンクとシンボリックリンク
1.02.4 ファイルの配置と検索
1.03:
GNUとUnixのコマンド
1.03.1 コマンドラインの操作
1.03.2 フィルタを使ったテキストストリームの処理
1.03.3 ストリーム、パイプ、リダイレクトの使用
1.03.4 正規表現を使用したテキストファイルの検索
1.03.5 エディタを使った基本的なファイル編集の実行
1.04:
リポジトリとパッケージ管理
1.04.1 apt コマンドによるパッケージ管理
1.04.2 Debianパッケージ管理
1.04.3 yumコマンドによるパッケージ管理
1.04.4 RPMパッケージ管理
1.05:
ハードウェア、ディスク、パーティション、ファイルシステム
1.05.1 ハードウェアの基礎知識と設定
1.05.2 ハードディスクのレイアウトとパーティション
1.05.3 ファイルシステムの作成と管理、マウント

101試験は、Linuxの起動から操作までのLinuxを操作する基本的な分野に関する出題が主な範囲です。
LinuCレベル1 101試験の内容解説
以下の見出しでそれぞれLinuCの出題範囲の技術的内容について解説します。
1.01:Linuxのインストールと仮想マシン・コンテナの利用
1.02:ファイル・ディレクトリの操作と管理
1.03:GNUとUnixのコマンド
1.04:リポジトリとパッケージ管理
1.05:ハードウェア、ディスク、パーティション、ファイルシステム
102試験の試験範囲
LinuCレベル1 102試験の試験範囲は以下です。
1.06:
シェルおよびスクリプト
1.06.1 シェル環境のカスタマイズ
1.06.2 シェルスクリプト
1.07:
ネットワークの基礎
1.07.1 インターネットプロトコルの基礎
1.07.2 基本的なネットワーク構成
1.07.3 基本的なネットワークの問題解決
1.07.4 クライアント側のDNS設定
1.08:
システム管理
1.08.1 アカウント管理
1.08.2 ジョブスケジューリング
1.08.3 ローカライゼーションと国際化
1.09:
重要なシステムサービス
1.09.1 システム時刻の管理
1.09.2 システムのログ
1.09.3 メール配送エージェント(MTA)の基本
1.10:
セキュリティ
1.10.1 セキュリティ管理業務の実施
1.10.2 ホストのセキュリティ設定
1.10.3 暗号化によるデータの保護
1.10.4 クラウドセキュリティの基礎
1.11:
オープンソースの文化
1.11.1 オープンソースの概念とライセンス
1.11.2 オープンソースのコミュニティとエコシステム

LinuCの102試験は、Linuxの操作に加えてより具体的なLinuxの技術に関する出題です。シェルスクリプトに関する技術は、実際にエンジニアとして稼働し始めたら使用することが頻繁にある技術です。ネットワークの基礎やシステムの管理についても実際の現場で使用する技術になっているのでしっかりと技術的理解をしておきましょう。
LinuCレベル1 102試験の内容解説
以下の記事でLinuCレベル1 102試験の内容を解説します。
1.06:シェルおよびスクリプト
1.07:ネットワークの基礎
1.08:システム管理
1.09:重要なシステムサービス
1.10:セキュリティ
1.11:オープンソースの文化
101試験と102試験はそれぞれ15,000円(税抜き)
101試験と102試験は受験するのにそれぞれ費用が必要です。101試験も102試験もどちらも1度受験するのに税抜きで15,000円必要です。
Pearson Vueで受験できる

LinuCレベル1はPearson Vue(ピアソンビュー)から受験を予約することができます。
以下のリンクからLinuCの受験予約ができます。
Pearson VueはCBT(コンピュータ・ベースト・テスティング) の資格受験を主に提供しているサービスになります。Pearson Vueの詳細は以下の記事でまとめています。
LinuCレベル1認定を取得するメリット
LinuCレベル1認定を取得すると、Linuxサーバーの運用に携わることができる技術を証明できます。特に昨今、エンジニアの不足が叫ばれているので、LinuCレベル1認定を取得することで、インフラエンジニアからエンジニアへのキャリアをスタートさせることが可能です。
LinuCレベル1認定を取得して携わることができる業務の例
LinuCレベル1認定を取得することで携わることができる業務の例を示します。
- Linuxサーバーの再起動操作や、ログの確認と取得、稼働状態の確認などのサーバー運用業務
- Linuxを使用している職場でLinuxの操作が必要な業務全般
- 他Linuxに関連する業務
LinuCレベル1認定の取得に必要なこと
LinuCレベル1はLinuxサーバーの運用に関する資格なので、大前提としてLinuxが操作できる必要があります。
Linuxの操作に慣れていて問題なくLinuxが操作でき、そのうえでLinuxの詳細な技術的な理解もある、ということが本資格の取得における理想的な状態です。
まずはLinuxを自分のパソコンで操作できるようにして、Linuxの操作に慣れていくところから説明します。その次に、Linuxの技術的な理解をすることができるLinuCレベル1対策教材を紹介します。
Linuxを操作してみる
まずは実際にLinuxを操作してみます。VMware workstationなどの仮想環境を、使っているパソコンに構築し、仮想環境下にゲストOSとしてLinuxをインストールしてLinuxを触ってみましょう。
Linuxには、様々なディストリビューションがありますが、実際に現場に出て使用する代表的なOSはRed Hat Enterprise Linuxになります。頭文字をとってRHEL(レル)と呼びます。2025年1月時点での最新版はRHEL9.5になります。
以下の記事にVMware workstationとLinuxをインストールする方法をまとめています。
以下の記事を参考にしたら、次はTera Termを使用してLinuxへ接続してLinuxを実際に操作します。VMwareのコンソール画面よりTera Termの方が操作がしやすいためです。
CUIでの操作(コマンドでの操作)に慣れる
WindowsやMacはGUIでの操作になるので、コマンドで操作を行うことは日常生活の中でほぼありません。しかしながら、サーバーエンジニアやネットワークエンジニアとして稼働する場合はCUI、つまりコマンド実行での操作が必須になります。
以下の記事でLinuxの基本操作についてまとめているので、一通り打ち込んでみてCUIの操作になれましょう。
TeraTermの使い方を理解する
LinuxにはSSHと呼ばれるプロトコルで、TeraTerm(Windowsの場合)やターミナル(Macの場合)でリモート接続して操作します。
Linuxを操作する際はついでにTera Termの使い方も覚えましょう。
試験対策を行う
実際にLinuxを操作してLinuxの動作に慣れたら、LinuCの試験対策を行います。
以下の教材はLinuCに認定されている教材でLinuCレベル1対策におすすめです。
- ping-t
- あずき本
- 黒本
- LinuC公式サイトの例題
その他のLinuC認定教材は以下リンクで確認できます。

1週間でLPICの基礎が学べる本
本のタイトルはLPICですが、LinuCにも問題なく対応しています。まずはLinuxとはなんぞや、というところの理解から始めることができるので、「1週間でLPICの基礎が学べる本」を一読しましょう。
以下の記事で「1週間でLPICの基礎が学べる本」の内容について詳しく解説しています。
ping-t
1問1答形式でLinuCレベル1学習用の問題に取り組めるサイトです。1週間でLPICの基礎が学べる本である程度LinuCの試験内容を理解したら一度取り組んでみましょう。
あずき本
LinuCレベル1に出題される、Linuxの操作方法や概要をわかりやすくまとめた参考書です。

黒本
表紙が黒いため黒本と呼ばれています。LinuCの黒本は2025年1月時点では執筆されておらず、代わりにLPICレベル1の黒本を使用します。出題範囲はLPIC、LinuCともに変わりませんが、問題内容が(答えの聞かれ方が)若干異なります。また、LPICレベル1に限らず、IT系の資格にはほとんど黒本が存在しています。

LinuC公式サイトの例題とその解説
以下のLinuC公式サイトには、LinuCレベル1の101試験と102試験のどちらの試験の例題とその解説も無料で公開されています。

LinuCレベル1認定の対策になるだけでなく、Linuxの技術的な理解の助けにもなるため、ぜひ一度目を通しておきましょう。
実際にLinuCレベル1に合格するためにやったこと
以下の記事でLinuCレベル1に合格するためにやったことをまとめています。
LinuCレベル1認定を取得したらレベル2の取得を検討する
LinuCには、レベル1から3までの難易度があります。LinuCレベル1を取得したら、さらなるスキルアップのためにLinuCレベル2認定の取得に向けて学習を進めるのもおすすめです。
LinuCレベル2が取得できると、Linuxサーバーの設計や構築に関する技術力をアピールすることができます。
LinuCレベル2の概要と出題範囲など
LinuCレベル2認定を取得するにはLinuCレベル1認定を取得している状態で、LinuCレベル2の201試験と202試験に合格する必要があります。
以下の記事でLinuCレベル2の詳細な概要についてまとめています。
LinuCレベル2を取得すると運用保守に加えて設計構築業務ができる
LinuCレベル2を取得すると、LinuCレベル1認定で証明した技術力に加えてLinuxサーバーの設計と構築に関する業務に関する技術力を証明することができます。
まとめ
LinuCレベル1認定を取得することでサーバーの保守運用業務に関わることができる技術力を証明できます。LinuCレベル1認定を取得することでインフラエンジニアとしてのキャリアをスタートさせるのに有利になれます。
LinuCレベル1認定の取得には、Linuxの操作に慣れておくことから始まるので、まずは自分のパソコンでLinuxを操作できる環境を作りましょう。