Linuxに関する資格であるLinuCレベル2についてまとめました。
LinuCレベル2の概要
LinuCレベル2はLinuxの設計・構築に関する業務の民間資格です。
LinuCレベル1は運用に関するスキルを証明出来る資格ですが、レベル2は設計と構築に関するスキルを証明できるため、LinuCレベル2に合格すれば上流の工程での業務が対応できるようになります。
201試験と202試験に合格するとLinuCレベル2認定を受けられる
LinuCレベル2認定を受けるには201試験と202試験に合格する必要があります。
LinuCレベル2認定の受験料
201試験、202試験共に1試験あたり15,000円(税込16,500円)がかかります。2試験に合格するには最低でも30,000円(税込33,000円)が必要です。
また、LinuCレベル2認定はLinuCレベル1認定を受けていなければ201試験、202試験の二つの試験に合格してもLinuCレベル2認定を受けることができません。
LinuCレベル1認定は101試験、102試験の合格が必要で、各試験あたり15,000円(税込16,500円)の費用が必要です。
認定は合格した日から5年間有効
LinuCレベル2認定は合格してから5年間は有効です。LinuCレベル2認定に合格すると、LinuCレベル1認定の有効期限もLinuCレベル2認定の有効期限に合わせて更新されます。LinuCレベル2認定を更新するにはLinuCレベル2認定が有効になっている期間中に201試験、202試験を再度受験し合格する必要があります。
もしくは、LinuCレベル3認定を受ければLinuCレベル1認定、LinuCレベル2認定も同時に更新されるので、LinuCレベル3 300, 303, 304の3試験のうちいずれかの試験に合格すればLinuCレベル2認定が更新されます。
LinuCレベル2を取得するには
LinuCレベル1では、Linuxの構造や、基本的な操作に関する出題が多数でしたが、レベル2ではより深いLinuxの構造の理解が求められます。
LinuCレベル1同様、実際にLinuxを操作しつつ、より深くLinuxについて理解していきます。
LinuCレベル2の合格におすすめの教材はLinuC公式サイトに記載されています。
LinuCレベル2 201試験の内容
201の試験範囲は以下の通りです。
2.01:システムの起動とLinuxカーネル
- 2.01.1ブートプロセスとGRUB
- 2.01.2システム起動のカスタマイズ
- 2.01.3Linux カーネルの構成要素
- 2.01.4Linuxカーネルのコンパイル
- 2.01.5カーネル実行時における管理とトラブルシューティング
2.02:ファイルシステムとストレージ管理
- 2.02.1ファイルシステムの設定とマウント
- 2.02.2ファイルシステムの管理
- 2.02.3論理ボリュームマネージャの設定と管理
2.03:ネットワーク構成
- 2.03.1基本的なネットワーク構成
- 2.03.2高度なネットワーク構成
- 2.03.3ネットワークの問題解決
2.04:システムの保守と運用管理
- 2.04.1makeによるソースコードからのビルドとインストール
- 2.04.2バックアップとリストア
- 2.04.3ユーザへの通知
- 2.04.4リソース使用状況の把握
- 2.04.5死活監視、リソース監視、運用監視ツール
- 2.04.6システム構成ツール
2.05:仮想化サーバー
- 2.05.1仮想マシンの仕組みとKVM
- 2.05.2仮想マシンの作成と管理
2.06:コンテナ
- 2.06.1コンテナの仕組み
- 2.06.2Dockerコンテナとコンテナイメージの管理
OSI参照モデルのL1〜L3までが主な出題範囲となります。具体的にはLinuxを操作可能な状態にして、必要な設定を入れておく、ぐらいの業務が担当可能になるレベルです。
201試験の範囲は、インフラエンジニアとして稼働する場合OSチームが担当する業務が問題なくこなせるレベルだと言えます。ミドルウェアをインストールする前までの業務がスタンドアローンで(自分1人で)問題なく遂行可能であることの証明が可能です。
人材採用を検討されている方は201試験に合格していれば、構築作業自体が問題なく出来ると判断してよいでしょう。
実務でOSの環境構築後に実施するミドルウェアの導入と設定に関する出題は202試験の範囲になります。
試験に合格する方法
201試験に合格するには、テキストベースで論理的にLinuxを理解しておくこともさることながら、実際にLinuxをインストールして操作可能な状態にし、confファイルなどに設定を記載してLinuxの動作を確認しておくことが望ましいです。
出題範囲のLinuxの操作方法に関しては別記事にまとめます。現時点で記事は作成中です。
LinuCレベル2 202試験の概要
LinuCレベル2 202試験の試験範囲は以下です。
2.07:ネットワーククライアントの管理
- 2.07.1DHCPサーバーの設定と管理
- 2.07.2PAM認証
- 2.07.3LDAPクライアントの利用方法
- 2.07.4OpenLDAPサーバーの設定
2.08:ドメインネームサーバー
- 2.08.1BINDの設定と管理
- 2.08.2ゾーン情報の管理
- 2.08.3セキュアなDNSサーバーの実現
2.09:HTTPサーバーとプロキシサーバー
- 2.09.1Apache HTTPサーバーの設定と管理
- 2.09.2OpenSSLとHTTPSの設定
- 2.09.3nginxの設定と管理
- 2.09.4Squidの設定と管理
2.10:電子メールサービス
- 2.10.1Postfixの設定と管理
- 2.10.2Dovecotの設定と管理
2.11:ファイル共有サービス
- 2.11.1Sambaの設定と管理
- 2.11.2NFSサーバーの設定と管理
2.12:システムのセキュリティ
- 2.12.1iptables や firewalld によるパケットフィルタリング
- 2.12.2OpenSSH サーバーの設定と管理
- 2.12.3OpenVPNの設定と管理
- 2.12.4セキュリティ業務
2.13:システムアーキテクチャ
- 2.13.1高可用システムの実現方式
- 2.13.2キャパシティプランニングとスケーラビリティの確保
- 2.13.3クラウドサービス上のシステム構成
- 2.13.4典型的なシステムアーキテクチャ
202試験の内容はOSの環境構築時、もしくはOS観点での構築作業完了後にミドルウェアに関する設定を行うと言った内容になっています。
実務ではApache(アパッチ)やメールに関する要件や設定等はOSチームではなくアプリチームが行うのが一般的です。
その他、OS構築に関する項目も含まれているため、実務で必要なスキルが身につく試験内容になっています。
201試験同様に202試験についてもテキストベースでの学習のみならず、Linuxの実機でどのような処理が行われるのか確認しておくことが望ましいです。
202試験に合格する方法
202試験はLinuCの中でも最も難易度が高いと言われており、筆者も202試験に合格してはいますが、学習範囲も広く、深く、学んだと記憶しています。実機を操作するのも重要ですが、試験の特性上テキストの読み込みも重要だと言える試験です。LinuCレベル2 202の試験範囲を参照し、試験範囲の知識を深く身につけましょう。以下LinuC公式サイトの例題の問題文、解答、解説、解説に記載されているURLの全てに目を通して暗記しておきましょう。
LinuCレベル2認定を受けたら
LinuCレベル2認定を受けたら、エンジニアの中でも相当Linuxに詳しい部類に入ります。運用ではなく上流工程であるOSの設計や構築作業が問題なくこなせる人材だと言えます。
LinuCレベル3各試験はLinuCレベル2認定の内容を深掘りして、かつ、学習する技術の量を若干増やした試験というのがLinuCレベル3各試験に合格している筆者の感想です。
LinuCレベル2認定を受けたら、次回の更新時にLinuCレベル3を受験するか、LinuCレベル3に続けて挑戦するか、それとも有効期限がきたら再度201試験、202試験を受験するか、になると思いますが、おすすめはLinuCレベル3 300試験を受けてLinuCレベル3認定を受けておくことです。
理由は、LinuCレベル3 各試験はLinuCレベル2を深掘りした試験であることから、LinuCレベル2認定の学習内容に関する記憶が定着しているうちに受験しておいた方が良いこと、LinuCレベル3認定を受けていれば次回更新時にLinuCレベル2認定を受けるために201、202と2試験を受けなくても良くなること、LinuCレベル3認定を受けていることを業務でアピールができること、Linuxの環境構築時はWindowsとの混合環境が多いこと(LinuCレベル3 300はWindowsとLinuxの混合環境に関する試験)などがあります。
まとめ
LinuCレベル2認定はLinuxの設計・構築に関する業務のスキルを証明する資格です。運用よりも高度な知識が必要となる業務に関するスキルを証明出来るので、高度なスキルが必要な業務に関わりたい人におすすめの資格です。
本資格の取得にはテキストで学習することもさることながら、実際にLinuxを操作して学習することも必要です。