LinuCレベル2 202試験の出題範囲「2.12.1 iptables や firewalld によるパケットフィルタリング」の技術的内容についての解説をまとめました。
重要度 3 概要 IPパケットを転送したり、ネットワークアドレス変換(NATやIPマスカレード)を実行するようシステムを設定し、ネットワークを保護することができる。これには、ポートリダイレクトの設定、フィルタルールの管理、攻撃の回避も含まれる。 詳細 iptables および ip6tables のツール
・iptables, ip6tables
IPパケットの転送
・/proc/sys/net/ipv4/, /proc/sys/net/ipv6/
ルーティングテーブルを管理するためのツール
ポートリダイレクト
発信元や宛先のプロトコルやポート、アドレスに基づいて、IP パケットの受入と拒否を行う
フィルタおよびルールの表示と保存
・/etc/services
フィルタ設定の保存および再読込
・iptables-save, iptables-restore
firewalld で設定の確認と変更ができる。
・firewalld, firewall-cmd
ufw で設定の確認と変更ができる。
・ufw

route コマンドの概要
routeコマンドは、Linuxに設定されているルーティング設定を確認することができるコマンドです。
以下はRed Hat Enterprise Linux 9.6でrouteコマンドを実行した実行結果です。
[root@RHEL96 ~]# route
Kernel IP routing table
Destination Gateway Genmask Flags Metric Ref Use Iface
default _gateway 0.0.0.0 UG 100 0 0 ens160
192.168.242.0 0.0.0.0 255.255.255.0 U 100 0 0 ens160
[root@RHEL96 ~]#

routedの概要
routedは、Linuxでルーティング機能を提供しているデーモンです。デーモンは常に動作している常駐プログラムのことです。
/proc/sys/net/ipv4/, /proc/sys/net/ipv6/の概要
/proc/sys/net/ipv4/, /proc/sys/net/ipv6/はカーネルパラメータに関する内容です。Linuxに設定されているカーネルパラメータの値を設定することで、ネットワークに関する設定を調整することができます。
/etc/sysctl.confカーネルパラメータを記載することでもネットワークの設定をすることができます。
カーネルパラメータの設定に関する詳細は以下の記事でまとめています。

iptables-saveコマンドの概要
iptables-saveコマンドはiptablesの現在の設定をファイルに保存するために使用するコマンドです。このコマンドは実行結果を標準出力で出力するため、リダイレクト「>」を使用します。
iptables-save > iptables.backup
iptables-restoreコマンドの概要
iptables-restoreコマンドはiptablesの設定が保存されているファイルから設定を復元するために使用するコマンドです。このコマンドは標準入力を利用するため、リダイレクト「<」を使用します。
iptables-restore < iptables.backup
firewalldとfirewall-cmdコマンドの概要
firewalldは、iptables(パケットフィルタリングやNATの設定を行う機能およびコマンド)に代わるLinuxのファイアウォール管理ツールです。
firewalldはfirewall-cmdコマンドで制御することができます。firewalldの状態は以下のコマンドで確認できます。
# firewall-cmd --state
Red Hat Enterprise Linux 9.6(RHEL9.6)での実行結果の例は以下です。
[root@RHEL96 ~]# firewall-cmd --state
running

firewalldはsystemdのサービスとして動作しているので、systemctlコマンドでも稼働状況を確認可能です。firewalldのサービス名はそのままfirewalldです。
# systemctl status firewalld
Red Hat Enterprise Linux 9.6(RHEL9.6)での実行結果の例は以下です。
[root@RHEL96 ~]# systemctl status firewalld
● firewalld.service - firewalld - dynamic firewall daemon
Loaded: loaded (/usr/lib/systemd/system/firewalld.service; enabled; preset: enabled)
Active: active (running) since Sun 2025-10-12 20:12:24 JST; 56min ago
Docs: man:firewalld(1)
Main PID: 930 (firewalld)
Tasks: 2 (limit: 10706)
Memory: 42.6M
CPU: 579ms
CGroup: /system.slice/firewalld.service
mq930 /usr/bin/python3 -s /usr/sbin/firewalld --nofork --nopid
10月 12 20:12:23 RHEL96 systemd[1]: Starting firewalld - dynamic firewall daemon...
10月 12 20:12:24 RHEL96 systemd[1]: Started firewalld - dynamic firewall daemon.

ufwの概要
ufwはUncomplicated FireWallの略で、Ubuntuのデフォルトのファイアウォール機能のことを指します。
ufwコマンドの概要
ufwはiptablesを設定するために使用されるコマンドです。
iptables(アイピーテーブルズ)の概要
iptablesはパケットフィルタリングやNATの設定を行う機能およびコマンドです。
iptablesは、Linuxカーネルに組み込まれているnetfilterというパケット処理機能利用して動作します。
iptables(アイピーテーブルズ)のテーブル
テーブルは、iptablesで作成するルール群の使用目的を決定するものです。
LinuCレベル2 202試験で問われる主なテーブルは以下の2つです。
・filter パケットフィルタリング用(デフォルト)
・nat NAT用
iptablesコマンドの「-t」オプションでのテーブル指定を省略した場合、常に「filter」テーブルを選択した事になります。
iptables(アイピーテーブルズ)のチェイン
チェインは、パケットの処理方法を定義したルール群です。チェインにルールを追加していきます。
ip6tablesの概要
ip6tablesは、IPv6に対応したiptablesコマンドです。コマンドの書式はIPv4の「iptables」と違いはありません。

