LinuCレベル3の概要をまとめました。
- LinuCレベル3認定を受けるにはLinuCレベル1、LinuCレベル2認定を受けている必要がある
- Linuxレベル3を取得すると、LinuCレベル1,2の有効期限も同時に更新される
- LinuCレベル2認定の有効期限の延長のためにLinuCレベル3の受験はおすすめ
- LinuCレベル3の300、303、304の有効期限はそれぞれ独立している
- LinuCレベル3(300、303、304)の出題範囲とその技術内容に関する解説
- LinuCレベル3 300の出題範囲の技術内容に関する解説
- 「主題390:OpenLDAP の設定」の出題範囲の技術内容に関する解説
- 「主題391:OpenLDAPの認証バックエンドとしての利用」の出題範囲の技術内容に関する解説
- 「主題392:Sambaの基礎」の出題範囲の技術内容に関する解説
- 「主題393:Sambaの共有の設定」の出題範囲の技術内容に関する解説
- 「主題394:Sambaのユーザとグループの管理」の出題範囲の技術内容に関する解説
- 「主題395:Sambaのドメイン統合」の出題範囲の技術内容に関する解説
- 「主題396:Sambaのネームサービス」の出題範囲の技術内容に関する解説
- 「主題397:LinuxおよびWindowsクライアントの操作」の出題範囲の技術内容に関する解説
- LinuCレベル3 303の出題範囲の技術内容に関する解説
- LinuCレベル3 304の出題範囲の技術内容に関する解説
- LinuCレベル3 300の出題範囲の技術内容に関する解説
- LinuCレベル3の対策はLPICレベル3の対策で問題ない
- LinuCレベル3 300の概要
- LinuCレベル3 303の概要
- LinuCレベル3 304の概要
- まとめ
LinuCレベル3認定を受けるにはLinuCレベル1、LinuCレベル2認定を受けている必要がある
まず大前提としてLinuCレベル3認定を受けるにはLinuCレベル1,2の認定を受けていなければなりません。
LinuCレベル1認定を受けるには101,102の2試験を受験して合格する必要があります。LinuCレベル2認定を受けるには、201,202の2試験を受験して合格する必要があります。
Linuxレベル3を取得すると、LinuCレベル1,2の有効期限も同時に更新される
LinuCレベル1、レベル2はそれぞれ2つ試験を受けなければ資格として認定されませんが、LinuCレベル3は3つの試験のうちいずれか1つの試験に合格すれば資格として認定され、下位のレベルの認定資格についても同時に更新されます。
ただし、LinuCレベル3のみの認定を取得することはできず、LinuCレベル3の試験に合格した場合はLinuCレベル1、レベル2認定も取得して初めて資格として認定されます。
LinuCレベル2認定の有効期限の延長のためにLinuCレベル3の受験はおすすめ
LinuCレベル2の認定の有効期限が切れてしまうと、LinuCレベル1、LinuCレベル2の認定を受けなおさなくてはいけなくなり、最低でも4度試験を受験する必要があります(101、102、201、202を受験する必要がある)。
しかしながら、LinuCレベル2認定を維持するために、LinuCレベル3の300、303、304のいずれかに合格すればLinuCレベル1,2のどちらの資格も有効期限が延長されます。
LinuCレベル3の300、303、304の有効期限はそれぞれ独立している
LinuCレベル3の300、303、304の有効期限はそれぞれ独立しているため、LinuCレベル3のどれかに合格したからといってLinuCレベル3の認定がすべて有効期限が延期されるわけではありません。
LinuCレベル3(300、303、304)の出題範囲とその技術内容に関する解説
LinuCレベル3(300、303、304)の出題範囲は以下で確認できます。



300試験、303試験、304試験、それぞれの出題範囲として指定されている技術については次で紹介する300試験に関する概要の記事、303試験に関する概要の記事、304試験に関する概要の記事でそれぞれ詳しく解説します。
LinuCレベル3 300の出題範囲の技術内容に関する解説
以下のLinuCレベル3 300試験についてまとめた記事にてLinuCレベル3 300試験の試験範囲の技術に関して解説をまとめています。
「主題390:OpenLDAP の設定」の出題範囲の技術内容に関する解説
「主題391:OpenLDAPの認証バックエンドとしての利用」の出題範囲の技術内容に関する解説
「主題392:Sambaの基礎」の出題範囲の技術内容に関する解説
「主題393:Sambaの共有の設定」の出題範囲の技術内容に関する解説
「主題394:Sambaのユーザとグループの管理」の出題範囲の技術内容に関する解説
「主題395:Sambaのドメイン統合」の出題範囲の技術内容に関する解説
「主題396:Sambaのネームサービス」の出題範囲の技術内容に関する解説
「主題397:LinuxおよびWindowsクライアントの操作」の出題範囲の技術内容に関する解説
LinuCレベル3 303の出題範囲の技術内容に関する解説
以下のLinuCレベル3 303試験についてまとめた記事にてLinuCレベル3 303試験の試験範囲の技術に関して解説をまとめています。
303の参考資料としては以下のLPI-JAPANのpdfが参考になります。
https://lpi.or.jp/news/event/docs/20121110_02_report_01.pdf
「主題325:暗号化」の出題範囲の技術内容に関する解説
「主題326:ホストセキュリティ」の出題範囲の技術内容に関する解説
「主題327:アクセス制御」の出題範囲の技術内容に関する解説
「主題328:ネットワークセキュリティ」の出題範囲の技術内容に関する解説
LinuCレベル3 304の出題範囲の技術内容に関する解説
以下のLinuCレベル3 304試験についてまとめた記事にてLinuCレベル3 304試験の試験範囲の技術に関して解説をまとめています。
「主題330:仮想化」の出題範囲の技術内容に関する解説
「主題334:高可用クラスタ管理」の出題範囲の技術内容に関する解説
「主題335:高可用クラスタストレージ」の出題範囲の技術内容に関する解説
LinuCレベル3の対策はLPICレベル3の対策で問題ない
LinuCレベル3の試験対策をする際の教材選びですが、基本的にはLPICレベル3の対策についての教材をそのまま流用して問題ありません。
根拠としてはLPICとLinuCでそれほど大きな試験内容の差がないと考えられるためです。
無難にLPIC3 の対策をして技術的な学習を進め、LinuCレベル3の学習を必要量こなせば問題なく合格できる資格試験だと筆者(LinuCレベル3 300,303,304合格経験あり)は思います。
LinuC公式サイトでも、LinuCレベル3の認定教材にLPICのものが指定されている
以下LinuC公式サイトに掲載されているLinuCレベル3の教材には「LPIC」の教材が認定教材として掲載されています。そのため、前述の通り、LinuCレベル3の対策としてLPICの教材を使用して問題ありません。
筆者自身、LinuCレベル3 303試験合格時には、LPIC 303試験の黒本をかなり読みこんで受験して合格することができました。


LinuCレベル3 300の概要

LinuCレベル3 300は、Linux、Windows、UNIXの混在環境での稼働ができるレベルの技術力を証明するLinuxの資格です。
LinuxとWindows Serverなどの混在環境に関する技術を問われる資格です。
以下の記事でLinuCレベル3 300の詳細をまとめています。
Windows ServerとRHELを使う現場である程度使える知識が手に入る

大半の構築環境ではWindows ServerとRed Hat Enterprise Linuxの混合環境です。
LinuCレベル3 300に合格できるレベルの技術的理解があれば、基本的にOSの環境構築に関する業務で困ることはほとんどありません。
出題される技術内容は主にSamba
以下LinuC公式サイトで確認できるように、LinuCレベル3 300試験の出題範囲は主にSambaに関する技術内容が大部分を占めます。

Sambaの説明としては以下のLinuC公式サイトのコラムが説明としてわかりやすいと思います。
「Samba」は、LinuxやBSDなどのUNIX系OSをWindows Networkに参加させるためのソフトウェアです。Sambaを利用すると、Linuxなどのマシンに、Windows Networkを経由したファイルサーバ、プリンタサーバ、ドメイン参加機能、ドメインコントローラ機能などを持たせることができます。
Windows Networkでは、Windows同士のファイル共有、プリンタ共有ができるほか、コンピュータ名の管理などを行うことができます。Windows Networkで利用されているプロトコルに「SMB(Server Message Block)」と呼ばれるものがあり、この「SMB」に母音をつけ足して「Samba」という名前になっています。

SMB(Samba)の詳細は以下の記事でも解説しています。
Samba以外に出題される技術はOpenLDAP
以下のLinuCレベル3 300試験の出題範囲を確認するとわかりますが、Sambaが大部分を占め、Samba以外ではOpenLDAPが出題範囲になっています。


OpenLDAPの技術的な詳細に関しては以下のLinuC公式ページでの説明が参考になります。
LDAPは、「Lightweight Directory Access Protocol」の略で、階層型のディレクトリデータベースにアクセスするためのプロトコルです。ディレクトリサービスとは、ユーザ名やホスト名などの情報を管理することが目的となっており、複数のコンピュータでユーザ情報を一元管理したいという場合に利用します。たとえば、教育機関や企業などで複数のコンピュータがあり、ユーザも複数存在するというケースでよく利用されます。

Open LDAP(openldap-servers)はRHEL7.4以降で非推奨
なお、出題範囲の技術である、Open LDAPのサーバー側に関するRPMパッケージ(openldap-servers)はRHEL7.4以降で非推奨となっています。現状、OpenLDAP(openldap-servers)は389 Directory Serverが代わりに使用されます。LinuCの学習でよく使われるCentOSはRed Hat Enterprise Linuxのクローンとなるディストリビューションなので、CentOSでも同様の仕様となります。
LinuCレベル3 300の合格体験記
以下の記事でLinuCレベル3 300試験の合格体験記を展開しています。
LinuCレベル3 303の概要

LinuCレベル3 303は、「Linux環境での認証の技術及びシステムセキュリティを考慮したシステム計画、構成、設計、構築、実装ができる」ことを証明するLinuxの資格です。
LinuxとLinuxに関連するソフトウェアのセキュリティに関する技術を問われる資格です。
以下の記事で303試験の概要と、出題される技術についての詳細な解説をまとめています。
OSというより、もっと包括的な技術的理解ができる資格
LinuCレベル3 303は、OSに関する資格であるのもさることながら、セキュリティに関する技術を問われる試験なので、より広い技術的な範囲について学べる資格です。国家資格であるネットワークスペシャリストは、およそ3~4割程度がセキュリティに関する出題です。LinuCレベル3 303で出題される問題も、OSというよりはどちらかといえばネットワーク、セキュリティに関する技術を問われます。
303試験はセキュリティとネットワークに関する資格
LinuCレベル3 303は公式サイトで以下のように紹介されています。
実際には、セキュリティに関する資格試験であるということは間違いありませんが、前述の通りセキュリティに関する技術内容はネットワークに関する技術内容を含みます。
国家資格のネットワークスペシャリスト同様に、303試験もセキュリティとネットワークに関する高い技術力を問う資格試験です。
セキュアなシステム設計、サーバー構築のスキルを証明するならこの資格!
LinuCレベル3は、「エンタープライズレベルでの仕事ができる技術者」を認定する資格試験です。LinuCレベル3 303 Securityでは、以下のような、Linuxを使ってエンタープライズレベルの大規模システム構築やコンサルティングができる、最高技術レベルのLinuxプロフェッショナルの能力を確認できます。Linux環境での認証の技術及びシステムセキュリティを考慮したシステム計画、構成、設計、構築、実装ができる。
セキュアなシステムにするために、ぜい弱性及びその対策を評価し、トラブルシューティングができる。
LinuCレベル3 303 Securityに認定された方は、セキュアなシステムにするために、システムの脆弱性及びその対策を評価し、安全性の高いシステム設計や サーバー構築ができるエンジニアとして評価されます。

LinuCレベル3 303 の合格体験記
以下の記事でLinuCレベル3 303の合格体験記を展開しています。
LinuCレベル3 304の概要

LinuCレベル3 304は以下の能力を証明できるLinuxの資格です。
- 仮想化の概念と技術を理解し、Linux/OSSを使って仮想化システムを構築、運用する
- 負荷分散、クラスタ管理、クラスタストレージなどの高可用性のための技術をLinux/OSSを使って構築、運用できる能力
わかりやすくまとめると、仮想化と高可用性に関するLinuxの資格です。
仮想化と高可用性(冗長化)に関する資格
物理サーバー1台に対して、複数のOSをインストーする環境を想定した資格試験です。
また、複数のサーバーがあるということは冗長化(片方のサーバーがダウンしてももう片方が補う形の構成)に関しての技術も必須です。
本試験は、そんな仮想化環境と冗長化に関する理解が深まる試験です。
公式サイトに冗長化に関する技術とのことで記載があるが現場でよく使うCluster Proの製品仕様については出題範囲外
以下LinuC公式サイトに記載してあるように、現場でよく使うソフトであるCluster Proの製品仕様に関する内容は出題範囲外となっています。

以下の公式例題でもCluster Proの技術的な仕様に関する出題は2025年8月時点では確認できません。

Cluster ProはNECが提供する日本シェアNo1サーバー冗長化ミドルウェア
冗長化といえばNECのCluster Proです。日本のエンジニアの求人を確認するとどの求人にもクラスターには基本的にCluster Proを使っていることがわかります。クラスタープロを提供しているNECの公式サイトにもクラスタープロのシェアがNo1であることの記載が確認できます。
CLUSTERPRO(クラスタープロ)は、システムの障害を監視し、障害発生時には健全なサーバーに業務を引継ぐことで、高可用性を実現する、国内シェアNo.1の実績を誇るHAクラスタリングソフトウェアです。
ただし、LinuCレベル3 304ではCluster Proについての技術的な出題は特にありません。その代わり、可用性についての技術的な理解を深めることができる試験内容になっているため、受験する価値は十分にあります。
冗長化の構造、仕組みを理解するのに役立つ試験
Cluster Proの技術的仕様が問われなくとも、冗長化に関する知識が必要になる試験なので、いざ現場でCluster Proを使うことになっても困らないだけの技術力が手に入ります。例えばフェイルオーバーという単語は冗長化されているサーバー環境において最も使う単語の一つですが、当然単語の意味を理解していないと試験に対応することができません。
フェイルオーバーとは、冗長化している片系のサーバーがダウンしたらもう片系のサーバーに機能を移動することをいいます。
仮想化と冗長化はほぼほぼセットの技術・知識
サーバーでOSを仮想化させるということは複数のOSをサーバー上で使うということになるので、冗長化とセットで理解する必要のある技術です。LinuCレベル3 304は仮想化と冗長化の両方をサポートするため、多くの現場で必要となる仮想化と冗長化について理解を深めることができる資格試験です。
LinuCレベル3 304の合格体験記
以下の記事でLinuCレベル3 304試験の合格体験記を展開しています。
まとめ
LinuCレベル3はそれぞれ実務で役に立つ知識が得られる資格試験です。LinuCレベル3 300,303,304すべてに合格しておくと、実務で重宝すること間違いありません。LinuCレベル2の有効期限を延期するために、LinuCレベル3を受験するのがおすすめです。











