LPIC/LinuCとRed Hat認定資格の比較をまとめました。
LPIC/LinuCの概要
LPICとLinuCの違いについては以下の記事でまとめています。
LPIC/LinuCの特徴は、レベル1からレベル3までレベル分けをしていることです。各レベルごとにどんな業務を行うかという想定があります。
レベル1 | Linuxの操作・運用 |
レベル2 | Linuxの設計・構築 |
レベル3 | Windowsとの混合環境、セキュリティ、仮想環境・高可用性 |
LPIC/LinuCは、Linuxを使っている実際の現場での業務を想定したLinuxの資格です。特定のディストリビューションを対象としているのではなく、あくまでもLinuxを使っての業務、というところに焦点を当てた資格だといえます。
Red Hat 認定資格の概要
Red Hat認定資格は、Red Hatが提供しているRed Hat Enterprise Linuxに関する資格です。Red Hat認定資格は以下の4種類に分けられ、RHCSAが最も優しく、RHCEはRHCSAを取得後に試験を受験して合格すれば取得が可能な資格で、RHCAがエキスパート認定を5つ以上取得した場合に取得が可能な資格です。
- RHCSA
- RHCE
- Red Hat 認定スペシャリスト
- RHCA
Red Hat認定資格は、Linux(Red Hat Enterprise Linux)の操作やRed Hat Enterprise Linuxの仕様に関する出題のある資格試験で、最新のRed Hat Enterprise Linuxのバージョンにも対応する資格です。
LPIC/LinuCと異なり、実務に重きを置いているというよりかは、Red Hat Enterprise Linuxの仕様、操作方法に重点を置いている資格です。
LPIC / LinuCとRed Hat 認定資格の違い
LPIC/LinuCとRed Hat 認定資格の違いを表にまとめました。
LPIC/LinuC | Red Hat認定資格 | |
資格の仕様 | 想定した業務(実務)を前提とした資格 | Red Hatの仕様、操作に主眼を置いた資格 |
受験料 | 1試験あたり15,000円(税抜き) レベル1認定には101、102の2試験を受験(30,000円(税抜き)) レベル2認定には201、202の2試験を受験(30,000円(税抜き)) レベル3認定には300 303、304のいずれかを受験(15,000円(税抜き)) | 1試験50,000円(税抜き) RHCSAはEX200を受験し合格で取得可能(50,000円(税抜き)) RHCEはEX294を受験し合格で取得可能(50,000円(税抜き)) |
難易度(LPIC/LinuCレベル1、RHSCA) | Linuxの基本的な操作以外にもITに関する常識を問われる。4つの選択肢から1つ選んで答える問題と、キーボードで入力する問題が少し出題され、実際にLinuxを操作する問題は出題されない。ただし日本語の教材やスクールなどが充実しており、資格保有者も多く取得はRed Hat認定試験より困難ではない。 | Red Hat Enterprise Linuxの仕様を理解していれば取得が可能。ただし日本語の教材はほとんどなく、Red Hat公式の教材は高額なため、独学が求められることから、学習環境を考慮すると難易度は高いといえる。 試験内容もRed Hat Enterprise Linuxを実際に操作する試験であるため、暗記よりも現場で使う実力を求められる。 |
難易度(LPIC/LinuCレベル2、RHCE) | ネットワークに関する技術や、サーバー構築、サーバー保守運用に関する技術力が必要な試験。レベル1同様、4つの選択肢から1つ選んで答える問題と、キーボードで入力する問題が少し出題され、実際にLinuxを操作する問題は出題されない。ただし日本語の教材やスクールなどが充実しており、資格保有者も多く取得はRed Hat認定試験より困難ではない。 | Red Hat Enterprise Linuxの仕様とAnsibleの理解が必要。前述のとおり日本語の教材はほとんどなく、Red Hat公式の教材は高額なため、独学が求められることから、学習環境を考慮すると難易度は高いといえる。 Linuxを実際に操作する試験であるため、暗記よりも現場で使う実力を求められる。 |
難易度(LPIC/LinuCレベル3、Red Hat 認定スペシャリスト、RHCA) | レベル3はレベル1、レベル2とは異なり、一つの試験に合格すれば認定される。また、レベル1、レベル2と異なり、専門的な分野を絞って出題され上、レベル2の学習内容を踏襲した上での学習となるので、レベル2に合格しているという前提を考慮すればレベル3の資格取得の難易度はそれほど高くない。 | 専門的な技術を問われる上に日本語の教材も少なく、Red Hat公式の教材は高額なため、独学でする必要があり、取得が困難。 |
合格することで得られる技術力 | Linuxの仕様だけでなく、「Linuxを使用する業務全般の技術」を学ぶことができる | Red Hat Enterprise Linuxという一つのディストリビューションからの視点で関連する技術を学ぶことができる |
お勧めできる人 | Linuxに関連する業務を行っている、もしくはこれから行いたい方 | Red Hat Enterprise Linuxの詳しい仕様を理解しなくてはいけない方(詳細設計書の記載、設計など) |
より詳しく説明していきます。
LPIC/LinuCとRed Hat認定資格の性質の違い
LPIC/LinuCとRed Hat認定資格は性質が異なります。LPIC/LinuCはLinuxに関する業務に対する資格試験で、Red Hat認定資格はRed Hat Enterprise Linuxに関する資格試験です。
LPIC/LinuCは、Linuxだけが試験の出題範囲ではなく、Linuxを使っている現場で使用する技術全般を問われる資格試験です。実際に実務でどう稼働するか、というところに主軸があります。
それに対してRed Hat認定資格はRed Hat Enterprise Linuxに関する資格試験のため、Red Hatの仕様をよく理解している人材が求められる現場で重宝する資格試験です。
LPIC/LinuCとRed Hat認定資格の受験料比較
LinuCレベル1は、30,000円(税抜き)で取得が可能です。レベル2も30,000円(税抜き)で取得が可能で、LinuCレベル3は15,000円(税抜き)で取得が可能です。
Red Hat認定資格は1試験を受験するのに50,000円(税抜き)かかります。RHCSAは50,000円(税抜き)、RHCEも50,000円(税抜き)で試験に合格すれば取得が可能です。
LPIC/LinuCとRed Hat認定資格の難易度比較
LPIC/LinuCは4問から1問選び、一部キーボード入力によって回答する問題が出題されます。Linuxを実際に操作する問題は出題されません。また、Linuxだけでなく、Linuxに関連する技術について多数出題されます。
ただしLPIC/LinuCは、日本語の教材、スクール等が充実しているため、学習しやすい試験だといえます
Red Hat認定資格は、出題形式が実際のRed Hat Enterprise Linuxを操作する試験であること、日本語の教材がほとんどなく、Red Hat公式の教材が高額であることから、独学を求められる試験です。
LPIC/LinuCとRed Hat認定資格を比較すると、複数の難易度の試験があるため試験にもよりますが、おおむねしてRed Hat認定資格のほうが取得は困難です。
どちらの試験がおすすめか
LPIC/LinuCとRed Hat認定資格は、どちらも性質の異なる資格試験です。
新卒でエンジニアになった社会人、エンジニアに転職を考えている社会人等であればLPIC/LinuCがおすすめです。LPIC/LinuCであれば現場で使用するLinuxに関係する技術力を身につけることができます。
すでにエンジニアとして稼働していて、Red Hat Enterprise Linuxに関する技術力が求められているエンジニアであればRed Hat認定資格の受験がおすすめです。
LPIC/LinuCどちらも取得していない場合
LPIC/LinuCとRed Hat認定資格どちらも持っていなくてLinuxに関する資格の受験を考えている場合、まずはLPIC/LinuCレベル1の受験がおすすめです。前述の通り、Red Hat認定資格は手に入る日本語の教材がLPIC/LinuCほど多くはないことやRed Hat Enterprise Linuxに関する技術力を等資格で、Linuxに関する概念を学ぶ資格ではないので、まずはLPIC/LinuCの受験がおすすめです。