企業向けのLinuxのディストリビューションである、Red Hat Enterprise Linuxに関する資格RHCSAの概要をまとめました。
RHCSAとは
RHCSAは「Red Hat 認定システム管理者」の英語表記の頭文字です。
Red Hatの資格は、以下の順に難易度が高く高度な技術を証明できます。
- RHCSA
- RHCE
- RHCA
RHCSAは、上位の資格を取得するためのRed Hat資格の中では最も難易度の低い資格となります。
RHCSAは以下の試験に合格することで取得が可能な資格です。
- RHCSA 認定試験 (EX200)
EX200の詳細は以下のRed Hat公式サイトに記載してあります。
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RHCSAの試験範囲
以下のEX200に関するページから試験範囲を引用します。
実務で使用する、RHELの実践的な操作方法に関する学習が必要な試験内容になっています。
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基本的なツールの理解と使用
- シェルプロンプトにアクセスして、正しい構文でコマンドを発行する
- I/O リダイレクトを使用する (>、>>、|、2> など)
- grep と正規表現を使用してテキストを解析する
- SSH を使用してリモートシステムにアクセスする
- マルチユーザーターゲットでログインしてユーザーを切り替える
- tar、gzip、bzip2 を使用してファイルをアーカイブ、圧縮、解凍、展開する
- テキストファイルを作成および編集する
- ファイルおよびディレクトリを作成、削除、コピー、移動する
- ハードリンクおよびソフトリンクを作成する
- 標準の ugo/rwx 権限をリスト、設定、変更する
- man、info、/usr/share/doc 内のファイルなど、システムドキュメントを特定、読み出し、使用する
シンプルなシェルスクリプトの作成
- 条件付きでコードを実行する (if、test、[] などの使用)
- ループ構造 (for など) を使用して、ファイル、コマンドライン入力を処理する
- スクリプトの入力 ($1、$2 など) を処理する
- スクリプト内のシェルコマンドの出力を処理する
稼働中のシステムの運用
- システムを正常に起動、再起動、シャットダウンする
- 手動でシステムを別のターゲットで起動する
- 起動プロセスを中断してシステムにアクセスする
- CPU/メモリーを多用するプロセスを特定してプロセスを強制終了する
- プロセスのスケジューリングを調整する
- チューニングプロファイルを管理する
- システムログファイルとジャーナルを見つけて理解する
- システムジャーナルを保存する
- ネットワークサービスを開始および停止し、ステータスを確認する
- システム間でファイルを安全に転送する
ローカルストレージの設定
- MBR および GPT ディスク上にパーティションをリスト、作成、削除する
- 物理ボリュームを作成し、削除する
- 物理ボリュームをボリュームグループに割り当てる
- 論理ボリュームを作成し、削除する
- Universally Unique ID (UUID) またはラベルで起動時にファイルシステムをマウントするようにシステムを設定する
- 新しいパーティションと論理ボリュームを追加して、システムを中断させずにスワップする
ファイルシステムの作成と設定
- vfat、ext4、xfs ファイルシステムを作成、マウント、アンマウント、および使用する
- NFS を使用してネットワークファイルシステムをマウントおよびアンマウントする
- autofs を設定する
- 既存の論理ボリュームを拡張する
- コラボレーション向けに set-GID ディレクトリを作成して設定する
- ファイルのアクセス権の問題を診断して修正する
システムのデプロイ、設定、保守
- at と cron を使用してタスクをスケジュールする
- サービスを開始および停止し、起動時にサービスが自動的に開始するように設定する
- 自動的に特定のターゲットで起動するようにシステムを設定する
- タイム・サービス・クライアントを設定する
- Red Hat Network、リモートリポジトリ、またはローカルファイルシステムからソフトウェアパッケージをインストールし、アップデートする
- システムブートローダーを修正する
基本的なネットワーク操作の管理
- IPv4 および IPv6 アドレスを設定する
- ホスト名解決を設定する
- 起動時に自動的に開始するようにネットワークサービスを設定する
- firewall-cmd/firewalld を使用してネットワークアクセスを制限する
ユーザーとグループの管理
- ローカル・ユーザー・アカウントを作成、削除、変更する
- パスワードを変更して、ローカル・ユーザー・アカウントのパスワードの有効期限を調整する
- ローカルグループとグループメンバーシップを作成、削除、変更する
- スーパーユーザーのアクセス権を設定する
セキュリティの管理
- firewall-cmd/firewalld を使用してファイアウォール設定を指定する
- デフォルトのファイルアクセス権を管理する
- SSH のキーベース認証を設定する
- SELinux の Enforcing モードと Permissive モードを設定する
- SELinux ファイルとプロセスのコンテキストをリストして特定する
- デフォルトのファイルコンテキストを復元する
- SELinux ポートラベルを管理する
- ブール値設定を使用してシステムの SELinux 設定を変更する
- 繰り返し発生する SELinux ポリシー違反を診断して対処する
コンテナの管理
- リモートレジストリからコンテナイメージを検索して取得する
- コンテナイメージを検査する
- podman や skopeo などのコマンドを使用してコンテナ管理を実行する
- コンテナの実行、開始、停止、実行中のコンテナの一覧表示など、基本的なコンテナ管理を実行する
- コンテナ内でサービスを実行する
- systemd サービスとして自動的に開始するようにコンテナを構成する
- 永続ストレージをコンテナに接続する
RHCSAの試験形式
RHCSAは実技形式での試験になります。自身のパソコンで実際にRed Hatを操作してみる環境を用意することを推奨します。操作環境については本記事の「RHCSAの対策」にて後述しました。
Red Hat 認定システム管理者 (RHCSA) 試験は、実践的な実技試験で、実際の開発タスクを行う必要があります。対面式の試験中、受験者はインターネットにアクセスすることはできず、資料や電子文書を持ち込むことも許可されません。ノートや書籍、その他の資料も持ち込めません。大半の試験では、製品に付属のドキュメントを試験中に使用できます。
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受験方法
RHCSAは以下の3通りでの受験ができます。
- リモートアクセス
- お客様の施設
- 個人用試験ステーション
リモートアクセスは、自宅などからの受験です。
お客様の施設は、会社などの法人等のオフィスからの受験です。
個人用試験ステーションはRed Hatが用意している試験会場です。
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受験を申し込む
RHCSAはRed Hat公式サイトから予約します。
まずは以下のRed Hat公式サイトにアクセスします。
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コースト試験を探すというテキストボックスに「EX200」と入力して「RHCSA 認定試験 (EX200) 」を見つけます。
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以下はEX200の検索結果です。赤枠で囲った試験が該当の試験になります。詳細を見る:試験をクリックします。
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右上の場所を選択するから日本を選択して詳細はこちらボタンをクリック。
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EX200を選択します(左側)。右側はEX200Kです。
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受援会場と日時を選んで受験しましょう。
受験費用
RHCSAの受験費用は50,000円(税抜き)です。2025年2月時点では税込みだと55,000円になります。
RHCSAの対策
RHCSAの対策本をAmazonで検索したところ、英語のものしか確認できませんでした。
試験範囲の操作を実際のRHELで行っておきましょう。VMware workstationもしくはVirtual Boxをインストールし、そのうえでRHELをインストールし、Tera Termから接続して学習します。
英語ですが、認定試験に関するtips(役に立つ情報)をRed Hatが動画で公開しています。