RHEL9の詳細設計をまとめました。以下を想定しています。
- Red Hat Enterprise Linux 9.6
物理環境・仮想環境
物理環境なのか仮想環境なのかを設計します。物理環境であればサーバーの機器名称を記載します。
サーバー等のハードウェアの情報は以下に記載しています。
CPUのコア数
物理仮想を問わず、使用するCPUのコア数を記載します。
ストレージ容量
ストレージの容量を決めて記載します。仮想環境でストレージを割り当てる場合、Red Hat Enterprise Linux9そのものに、推奨の容量があるので参考にしてください。
最低 10 GiB の空きディスク容量が必要です。Red Hat Enterprise Linux をインストールするには、パーティションが分割されていないディスク領域か、削除できるパーティション内に、最低 10 GiB の容量が必要です。
各ディレクトリの容量
/var、/rootなど、各ディレクトリの容量を設計します。なお、ストレージ容量と同じくして各ディレクトリの容量も推奨のサイズがあります。
以下のRHEL9公式ドキュメントを参考に、各ディレクトリの最低推奨値(最小限の推奨値)をまとめました。
ディレクトリ | 推奨値 | 備考 |
/home | 1 GiB 以上のサイズを推奨 | |
swap | 最小限 1 GB のサイズを推奨しています | mkswap(8) の man ページを参照してください |
/ | (10 GiB のサイズを推奨) | |
/boot/efi | サイズは 200 MiB を推奨 | |
PReP 起動パーティション | (4 – 8 MiB のサイズを推奨) | IBM Power System サーバーに Red Hat Enterprise Linux をインストールする場合は、ディスクの最初のパーティションに PReP 起動パーティションが含まれている必要があります。 |
/var | 最低 5 GB | /var を含むパーティションまたはボリュームは、最低 5 GB となることを確認してください。 |
/usr | CUI ⇒ 最低 5 GiB GUI ⇒ 最低 10 GiB | このディレクトリーを含むパーティションまたはボリュームは、最小インストールの場合は最低 5 GiB、グラフィカル環境のインストールの場合は最低 10 GiB 必要です。 |
マウント情報
以下のコマンドで確認できるマウント情報を確認して記載します。
# df -Th
マウントに関しての詳細は以下でまとめています。
fstabの確認
fstab(ファイルシステムテーブル)の確認をしておきます。
# cat /etc/fstab
isoファイル(CPU)のアーキテクチャ
OSのインストールに使用するisoファイルはCPUのアーキテクチャによって必要なisoが異なります。
ホスト名
サーバーのホスト名を決めます。一般的には商用であればprodのp、検証用であればstagingのsを含むホスト名を設定するなど。
自身のIPアドレス
以下コマンドで確認できる自身のIPアドレスを設計書に記載します。
ifconfig
IPv6の無効化
IPv6を無効化する場合はその内容を記載します。
接続先のDNSサーバー
DNSサーバーに接続して使う場合はDNSサーバーのIPアドレスを記載します。
プロキシサーバーの接続先
プロキシサーバーを使用する場合はプロキシサーバーのIPアドレスを記載します。
ルーティング設定(ルーティングテーブルの確認)
ルーティング設定を記載します。以下のコマンドで現在設定されているルーティング情報を記載します。
netstat -nr
以下は実行例です。
[root@RHEL96 ~]# netstat -nr
Kernel IP routing table
Destination Gateway Genmask Flags MSS Window irtt Iface
0.0.0.0 192.168.242.2 0.0.0.0 UG 0 0 0 ens160
192.168.242.0 0.0.0.0 255.255.255.0 U 0 0 0 ens160
[root@RHEL96 ~]#
ファイヤウォールに関する設定の記載
ファイヤウォールに関する設定を記載します。
SELinuxの無効化

SELinuxを無効化しないと動作しないケースが複数あると思います。RHEL9ではRHEL8とSELinuxの無効化方法が異なるので、以下の記事でSELinuxを無効化させます。
まずは以下のコマンドで今の状態を確認します。
# grubby --info ALL
次に以下のコマンドでパラメータを追加します。
# grubby --update-kernel ALL --args selinux=0
以下のコマンドでOSの再起動を実施します。
# reboot
再度最初に実行したコマンドを実行して実行結果を確認して差分を確認します。
# grubby --info ALL
SELinuxの無効化を取り消すには以下のコマンドを実行します。
# grubby --update-kernel ALL --remove-args selinux
カーネルバージョンの記載
カーネルのバージョン情報を記載します。
各種RPMパッケージの一覧、バージョン情報を記載
以下コマンドで確認できる各rpmパッケージの情報を記載します。
rpm -qa | sort
サービスの一覧を確認する
以下のコマンドを実行してサービスの一覧を確認しておきます。
# systemctl list-units -t service
実行例:
[root@RHEL96 ~]# systemctl list-units -t service
UNIT LOAD ACTIVE SUB DESCRIPTION
accounts-daemon.service loaded active running Accounts Service
alsa-state.service loaded active running Manage Sound Card State (restore and store)
atd.service loaded active running Deferred execution scheduler
auditd.service loaded active running Security Auditing Service
avahi-daemon.service loaded active running Avahi mDNS/DNS-SD Stack
chronyd.service loaded active running NTP client/server
colord.service loaded active running Manage, Install and Generate Color Profiles
crond.service loaded active running Command Scheduler
cups.service loaded active running CUPS Scheduler
dbus-broker.service loaded active running D-Bus System Message Bus
dracut-shutdown.service loaded active exited Restore /run/initramfs on shutdown
...(中略)
kdumpの設定
kdump(カーネルに関するダンプの設定)が有効になっているはずなので、kdumpが有効になっていることを記載しておきます。
コアダンプの設定
コアダンプはアプリケーションのクラッシュ時に作られるダンプです。コアダンプの設定についても記載しておきます。
リモートデスクトップ接続
RHEL9ではポート番号3389でWindows Serverのようにリモート接続できないので、これはRHEL10からの仕様で記載する要素です。RHEL10ではWindows Server同様にポート番号3389でリモート接続が可能です。
名前解決
以下のhostsファイルにIPアドレスとホスト名が対応している情報が記載されるのでそれを詳細設計書に記載しておきます。
/etc/hosts
以下のコマンドでhostsを確認します。実行例とコマンドです。
[root@RHEL96 ~]# cat /etc/hosts
127.0.0.1 localhost localhost.localdomain localhost4 localhost4.localdomain4
::1 localhost localhost.localdomain localhost6 localhost6.localdomain6
[root@RHEL96 ~]#
インストールしたミドルウェアの一覧とその設定
RHELにインストールしたミドルウェアの一覧とその設定値を記載しておきます。環境変数など。
.bashrc_と.bash_profileの内容を記載
.bashrcと.bash_profileの内容を記載しておきます。
カーネルパラメータの記載
以下のコマンドで確認できるカーネルパラメータを記載しておきます。
# sysctl -a
カーネルパラメータには永続的なものと一時的なものがあります。Red Hatのサポートに不明点は確認してください。